３月３１日午後１０時

こんな日のこんな時間に
職員室に誰もいない。

しかし

私はいた。
ここしか時間がなかったのでいた。
引っ越しの荷物が片付け終わらなかったのではない。

４月１日までに終わらさなければならないことがあった。

一人しかいない職場

机の上は、いままで見たこともないように何もなくなって
座席後ろの高層ビル群もいっさい見えず窓が見える

なんとすばらしい空間だ
What a wonderful space !!

とりあえず仕事を終わらせた。

「さあ帰ろうか。」

ふと気がつくと床にゴミが
ゴミ箱にはゴミが

「無視無視。」
「自分がやったんじゃないから」
「さくっと帰ろう」

窓際にはおびただしい虫の死骸とホコリが

うぅっ。

思わず掃除機を取りに行った。
気がつくと、虫の死骸に話しかけていた
「すまんなぁ、こんなになるまで」

「さあもう今度こそ帰ろう」

広い机の上は軽く拭いただけで黒ずんだまま

「明日誰か拭くよ」
「帰ろう、１１時になるよ」

思わず、洗剤とたわしでこすっていた
気がつくと、机に語りかけていた
「もうすぐきれいになるぞ」

拭き上げて帰った。

帰り道
ふっと思い出した言葉がある

「カストーディアル」

そういえば「道徳」の資料として
だれか使ったよな

カストーディアルか

たしか、小さい女の子が見つけ出した
物と仲良くなる方法
「名前をつければいいのよ」

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